文章系同人誌の作り方

目次
  1. はじめに
  2. 準備
    1. 前提
    2. 道具・ツール
      1. テキストエディタ
      2. 画像編集ソフト
    3. 文章
  3. 編集・構成
    1. ページ構成
      1. ページ数
      2. 綴じ方向
      3. 構成・レイアウト
    2. 文章原稿化方法
      1. 文字ツール機能の有る画像編集ソフト
      2. 文字ツール機能の無い画像編集ソフト
    3. 文章編集方法
      1. 横書き
      2. 縦書き
  4. 入稿

はじめに
 この文書は同人誌の作り方、特に文字を主体とした物の作り方について書いています。
 同人誌と言えば、イラストや漫画というイメージが強いですが、小説や評論なども同人誌の立派なジャンルの一つです。(長く同人誌をやっている人にとっては、「何をいまさら」という感じでしょうが。)
 ですが、創作活動を文字主体で行う人の中には「原稿の書き方がわからない」、「同人誌にしてみたいけど編集がよくわからない」などの疑問を持つ人も多いのでは無いしょうか? やはり絵描きの人に比べて、文字書きの人はここら辺の事が苦手だったり、知識や経験を積む機会が少ないように感じます。
 身も蓋もない言い方をしてしまえば、ここら辺は「習うより慣れろ」の世界だったりするのですが、そう言ってしまうと無駄にハードルが上がるのもまた事実。ですので、ここは私が文字主体同人誌を作る上で経験し、蓄積した技術やノウハウなどをお届けしたいと思います。同じ苦労を別の人がするのは馬鹿馬鹿しいですしね。
 ただ注意してほしいのは、ここで書かれていることは私個人の経験、視点、感想によって書かれているモノなので、絶対的な正解ではありません。あくまで一つの参考として見て欲しいと思います。

 また本文書はデジタル環境で原稿制作から入稿という前提で書いています。パソコンを持っていない方にはあまり参考にならないかと思います。というかそう言う人は、この文章読む機会ない気がしますが。

 説明の足りない部分、解りにくい部分、追加して欲しい部分などありましたら、筆者までご一報下さればと思います。


1.準備
 この項では文字同人誌を書く上での準備について書いています。
 必ずしも全て必須と言うわけでは無いですが、あると便利な物も含めて、私が制作する上で使っているものなどを紹介していきたいと思います。

1-1.前提
 前提として、特に断りが無い場合、この文書ではWidows環境での制作を基準とした紹介になっています。
 高性能なマシンスペックは特に要求しませんが、2000年以前のOSやマシンスペックの場合、動作しないソフトや作業環境的につらいこともあるかもしれません。
 またMacOSをはじめとする各種OSの人は、適時読み変えて下さい。
 制作する同人誌のサイズは平均的なB5サイズの物として話を進めます。文字系同人誌の場合、文庫本サイズで出してくれる印刷所もあるようですが、そちらに関してはあまり詳しくないので説明しません。

1-2.道具・ツール
 この項では文章系同人誌を作成する上であると便利な道具について紹介します。
 これまであまりツール系を使った事が無い人は、これを機に使ってみると作業効率やクオリティが上がるかもしれません。上がらないかもしれません。
 ここで紹介しているのは、あくまで一例なので、自分に使いやすい道具を探してみるのもいいでしょう。

1-2-1.テキストエディタ
 Win標準だとメモ帳がありますが、同人誌を作るのなら、テキストエディタの導入を考えましょう。メモ帳に何らかのこだわり(ex.父の形見、師匠からそれ以外使うなと戒められている、等)があるなら別ですが、そうでないなら高性能なテキストエディタに切り替えましょう。様々な機能は最初はあまり慣れないかもしれませんが、作業効率は劇的に上がるはずです。
 フリーソフト、シェアウェアなど色々な物があります。フリーだと有名どころはTeraPad、シェアだと秀丸辺りでしょうか。
 既に使い慣れているエディタがある人はそのままでOKです。
 Mac環境はエディタよくわからないんで、すいませんが自分で調べて下さい。同人誌作るのにLinux環境でViとかEmacsという猛者は知らん。

 テキストエディタではなく、OfficeのWordを使うという手もありますが、あまり推奨はしません。動作が重かったり、作成した文書を他のソフトで扱う時に二度手間になりやすいなどが理由です。もし強いて使うとするなら、小説で縦書きの場合ぐらいでしょうか。
 原稿作成段階ではテキストエディタで横書きで書いて、編集段階で縦書きにすれば良いので意味は薄いですが……。
 またWordなどのワープロソフトは、直接入稿できるeps形式などに出力する方法もあるそうですが、そちらに関しては私は詳しくないので、知りたい方は自分で調べて下さい。

参考:筆者が使っているのはメインにMkEditor、サブでHCEditor、TeraPadを用途に応じて。社用で秀丸。
(おまけ・Linux環境ではVim)

1-2-2.画像編集ソフト
 同人誌を作る以上画像データの作成は避けて通れません。(txtやdocなどで直接入稿できる印刷所もあるらしいですが)
 Win標準の画像編集ソフトはMS ペイントがありますが非推奨です。というかこれで原稿を作るのは厳しいです。
 最低でもレイヤー機能が使える画像編集ソフトを使いましょう。レイヤー機能は、二段組みなどの文章構成にする場合、この機能が使えると圧倒的に便利です。小説などでルビを振る場合は必須機能と言っても過言ではありません。
 使う画像編集ソフトですが、使い易さなどではやはりPhotoShopがいいのですが、有償の上、高価なソフトなのでフリーソフトやシェアウェアを使うのが無難かもしれません。フリーソフトではPixia、GIMP、PictBear、シェアウェアではSaiなどが有名です。
 ここら辺は人との相性もあるので、フリーソフトをインストールして自分に合うのを探すのもいいでしょう。ペンタブやスキャナの購入を考えてる人なら、バンドルソフトのPhotoShop Elementsを入手するという手もあります。

1-2-3.紙
 原稿の作成を行うのはデジタル環境ですが、アナログメディア、つまり紙は記録媒体としてやはり非常に優秀です。
 デジタルデータは綺麗な編集や保存、再利用性では優秀ですが、思いついたことを瞬時に残すなどの用途には不向きです。
 小さめのノートとポストイットの組み合わせは編集メモや作業進捗を残すのに向いています

1-3.文章
 同人誌に載せる文章を書きましょう。
 文章の書き方、文筆テクニック的な内容はここでは触れません。人に教えられるほどの立場では無いので。
 詳しい編集方法は後の項目で触れるので、編集前の事前段階としての注意などを書きます。

 基本的に文章は自由に書いて大丈夫ですが、後から数回以上手直しをすることがほぼ必須となります。誤字脱字の修正だけでは無く、読みやすい文章や、紙面構成上削る、あるいは増やすのが必要となるためです。
 フォントのサイズによって変わりますが、一ページあたりの行数、一行辺りの文字数が決まった段階で、エディタの表示オプションを使って、折り返し文字数を本番の一行あたりの文字数と同様にしてみましょう。こうすることで現在の文章が、何ページ分の文章になるか分かるはずです。
 この時点で色々問題点が見えてくるはずです。予定しているページ数に足りない、あるいはオーバーしている場合は、書き足しや削ることが必要となります。数文字だけ次の行に送るような部分は、文章を構成してその前の行までに納めた方がいいでしょう。一文がページをまたぐ場合なるべくなら、編集してまたが無いようにした方が可読性は上がります。
 この時点である程度文章を本番に見据えた形で編集しておくと本番用のレイアウト作業時などの手間が格段に減ります。ただ、この段階で完璧な本番用文章を目指しても、編集段階で必ず幾らか弄ることになります。適当な所までで止めておきましょう。


2.編集・構成

 ここで触れるのは、同人誌の原稿にする際のページ構成、文章編集方法です。文章が横書き、縦書きの場合で若干異なる部分がありますが、基本は同じです。
 なお同人誌は表紙を抜いた部分を「本文」と呼びます。印刷所のホームページの料金表などで、本文込み○○ページと呼ばれているのはそのためです。
 例えば、本文込み24ページの本があったとします。この場合それぞれ、1ページ目を表紙(表1)、2ページ目を表紙の裏(表2)、3~22ページまでの20ページ分を本文、23ページ目を裏表紙の裏(表3)、24ページ目を裏表紙(表4)と呼びます。
 印刷所によってはノンブル(ページ数のナンバリング)を本文のみで入れるところと、表紙含めて全体のページ数に合わせるところがあります。本文書では、全体のページ数に合わせた形に表記を統一します。

2-1.ページ構成

2-1-1.ページ数
 それではページ構成の第一歩として大体のページ数を決めましょう。
 同人誌の場合、基本的にページ数は4の倍数です。これは製本上の都合によるものです。同人誌は一枚の紙を左右に1ページづつ割り当て、それを裏表使うので、4ページ毎が単位となります。そのため、原稿のページ数が4の倍数でない場合、ページを削るか増量するなりして4の倍数に納める作業が必要です。ちなみに印刷所に頼む場合、表紙込み20ページ(本文16ページ)が最低単位です。
 ここで注意しておきたいのが、殆どの場合『本文のページ数≠文章のページ数』ということです。表紙を開けてすぐ本文が始まるのならそれでも問題ありませんが、一般的な同人誌の場合、扉や奥付は付けた方がいいでしょう。ページ数が多い場合や合同誌の場合は、目次や各章、執筆者ごとの扉をつけた方が読み易さは上がります。基本としては本文ページ数は、文章本体で必要なページ数+4ページは最低見ておいた方がいいでしょう。
 あくまでここで決めたページ数は、概算としての物です。作成中に多少の増減はあると思います。ですが、最初にある程度ページ数の目標を決めておくと、作業進捗や構成を考える上で役に立ちます。
 私の経験上、ページ数は4で割り切れない端数が出そうな場合、増やしてしまった方が楽です。2ページ3ページ分ぐらいなら、オフセット本でも大して原価への影響はありませんし、無理に削ったり、詰めて入れる為にページレイアウトなどを詰めると読みにくい本になり易いです。無理に詰めるぐらいなら、途中に空白ページを差し込むと言うのも選択肢の一つです。章や節の変わり目なら空白ページがあってもそこまで違和感は少ないですし、後々編集の都合などで追加ページが必要になった時のバッファにもあなります。
 余談ですが、扉や奥付は自分が作る本のお手本を真似して作ると良いでしょう。もちろん自分でデザインやレイアウトが出来るのならそれで構いません。扉にイラストカットなどが欲しい場合は、自力で描くのもいいですし、写真を加工したりしても案外それっぽくなるものです。
 扉や空白ページを上手く使えば、ページ数の調整もし易いですし、可読性を上げる事ができます。

2-1-2.綴じ方向
 次にページレイアウトなどを決めて行くわけですが、その前に決めるべきことがあります。同人誌を綴じる方向です。
 自分の手元にある本を見れば分かると思いますが、本は表紙を上にした時、右側で閉じられている物と左側で閉じられているものがあります。一般的に縦書きの文章の本は右綴じに、横書きの文章の本は左綴じになります。これは、縦書きの場合文章が右から左に書かれ、横書きの場合左から右に書かれることに起因します。文章の流れる方向とページを送る方向を統一することで可読性を上げているわけです。
 これから自分が作る本が、論説や解説と言った横書きがメインになるのなら左綴じに、小説など縦書きがメインになる場合は右綴じにするのがいいでしょう。両者が混在している場合は、右綴じにするのが無難でしょう。横書きはページ単位で内容が完結していれば、右ページから左ページへ読み進める事は可能ですが、縦書きは左ページから右ページに読み進めるのは不可能です。(不可能は言い過ぎかもしれませんが、読者はかなりのストレスを感じると思います)

2-1-3.構成・レイアウト
 同人誌を綴じる方向が決まったら構成を決めましょう。
 基本的に一つの章や項目は、「奇数ページから始めて偶数ページで終わらせる」と編集が楽になり、比較的見栄えも良くなります。
 これは同人誌の本文のページ構造をそのまま縮小した物で、この状態で各項目がまとまっていると後から原稿の順序などを入れ替えるのが楽になります。
 レイアウトの例としては、1ページ目を片面ページの扉。2ページ目からを見開き単位で本文。最後のページを章末の締めや、空白ページなどで終わらせると言う物があります。
 もちろん見開き単位のみでページを構成して行く方法もあります。
 ここで重要なのは、作成している原稿が左右どちらのページに来るかを常に意識しながら原稿を作ることです。特に文章の場合、ページ送りを文章がまたいでいると途端に読みづらくなることが多いので、その点を意識すると良いでしょう。

 レイアウトをする際に見た目の問題として気をつける点として、上下左右に余白を作るというものがあります。これには理由があります。印刷屋さんのWebページの注意などにも書いてありますが、原稿の端まで文字を入れ込むと印刷や裁断、製本の際に見切れてしまう場合があるためです。ページの外側の端であれば入りきらないこともありますし、内側の端であれば綴じ込みの奥の方で見づらいということがあります。大体最低でも周囲1cm分ぐらいは余白を取った方がいいでしょう。
 十分な余白があればノンブルを入れるのも楽になります。

2-2.文章原稿化方法
 この項では文章を原稿化する方法について説明します。横書きの場合と縦書きの場合で、作法などが若干異なりますが、基本は共通しています。
 大前提として文章を原稿化する際には、テキストファイルなどで用意した文章を入稿可能な原稿用の画像ファイルに変換するという作業が必要になります。
 1.で紹介したような画像編集ファイルで、画像を作って行く事となります。この部分に関しては、使う画像編集ソフトなどでかなり差が出る部分です。最低限覚えておくラインとして、解像度は350dpi以上で原稿を作成しましょう。解像度に関しては各画像編集ファイルの設定項目で変更できると思います。
 例えばB5サイズの原稿を350dpiグレースケールで用紙の周囲余白を3mmに設定した場合、幅・2591px 高さ・3624pxのファイルになります。
 文字原稿とは言え、本となって仕上がってくる際に、この解像度はやはり大きな意味を持ちます。解像度が低い状態で無理やり引き伸ばした場合、どうしても滲んだりぼやけたりすることになります。
 ここら辺の解像度などに関しては、同人誌の印刷所のwebなどに詳しい事が書いてありますので、そう言ったページを参考にすると良いでしょう。参考の一つとして、私がいつもお世話になっている印刷所・ねこのしっぽさんのページは以下の通りです。

参考:原稿制作マニュアル|データ原稿の描き方。

 さて、それでは実際に文章を画像ファイルに落としこんで行くわけですが、これには幾通りかの方法があります。

2-2-1.文字ツール機能の有る画像編集ソフト
 写真屋を始めとする文字ツール機能を有した画像編集ソフトでの原稿作成方法です。
 特に難しい作業は無く、文章用のレイヤーを作成し、そこに文章を載せて行くだけです。注意する所としては行送りなどの際に、行頭に句読点などが来ないように気をつけるぐらいです。
 この方法は、実際にツールを使ってみるのが一番分かりやすいと思います。写真屋は有償ツールですが、PictBearなどの無料ツールでも文字ツール機能を有した物があるので、そう言った物を使うのも一つの方法です。
 この方法の最大の利点は、画像ツール上で文章の編集、修正が行い易いということです。ラスタイズを行わなければ、何度でも修正が可能です。

2-2-2.文字ツール機能の無い画像編集ソフト
 画像編集ツールには文字ツール機能を持たない物も多く存在します。ここでは、文字ツール機能を持たない画像編集ソフトでの原稿作成方法です。
 1.では原稿作成にWindows標準のMSペイントは向かないと書きました。ですがここではあえてMSペイントを利用します。矛盾するようですが、これには理由があります。何故ならMSペイントには文字ツール機能があるためです。MSペイントの文字ツール機能は再編集機能こそありませんが、横書き・縦書きの両方に対応しています。つまりMSペイントは画像編集ツールとしてはイマイチですが、文章を打ちだすツールとしてはそこそこ優秀ということなのです。
 実作業としては、MSペイント上で文章だけが入った「文字画像」を作成し保存。保存した文字画像ファイルを、原稿作成に使っている画像編集ツールに取り込んで使います。取りこんだ画像をコピー&ペースとして、文章用に新規作成したレイヤーに貼り付けて使いましょう。
 注意点としては、MSペイントは、仕様上36pt以下のフォントサイズだとアンチエイリアスがかかりません。なのでMSペイントで文字画像を作成する時は、必ず37pt以上の文字サイズで作成しましょう。またMSペイントはjpg形式などへの保存機能の性能が良くないので、文字画像を保存する時ははモアレなどが発生しないようにbmp形式で保存しましょう。文字画像は、後の作業を考え文字を黒、背景を白で作成するといいでしょう。この形式で作っておけば、画像編集時に文字を載せたレイヤーの属性を乗算にするだけで背景部分が透過され、簡単に文字をレイアウトすることができます。

2-3.文章編集方法
 この項目では、前章で作成方法を紹介した文章の原稿化、その具体的な編集方法を述べます。
 横書きの場合と縦書きの場合で、作法などが若干異なりますが、どちらの場合もフォントと行間には気をつけましょう。
 フォントは、一般的なフォントであるゴシックか明朝体がいいでしょう。行書体や手書き風フォント、デザインフォントなどは、目立たせたり個性を出すのには便利ですが、文字の総量が多い場合可読性をかなり下げます。このような特殊フォント系を使う場合は、タイトルやロゴなどのデザインや、ピンポイントの使用にとどめた方がメリハリも利いて効果的です。
 ゴシックと明朝のフォントの使い分け方としては、

ゴシック:断定調の文章(ex.論述文)
明朝   :会話主体の文章(ex.小説)

 とすると、比較的読みやすくなると思います。インタビュー形式の文章であれば、インタビュアーと回答者のフォントを別々にするという方法もあります。
 さらにフォントは「プロポーショナルフォント」ではなく、「ピッチフォント」を使ったほうが、編集の手間は格段に減ります。好みにもよりますが、可読性も上がります。この二つのフォントがどう違うかというと、

プロポーショナルフォント:文字毎に文字幅が異なるフォント(ex.MS Pゴシック)
ピッチフォント     :文字毎に文字幅が同じフォント(ex.MS ゴシック)

 と言った感じです。Windows標準フォントの一つMS Pゴシックや、MS P明朝のPはプロポーショナルのPなわけです。1バイト文字文化圏だとプロポーショナルフォントの方が可読性が上がったりするんですが、2バイト文字である日本語の場合、慣例的に印刷物などのフォントは等幅であるピッチフォントが採用されているので、それに習いましょう。実際に同じ日本語の文章をプロポーショナルフォントとピッチフォントで印刷してみると読み易さの違いがわかるはずです。

 行間に関してですが、大体文字の半分ぐらいの行間は空けましょう。つまり文字の大きさを100%とした時、行全体としての高さ、あるいは幅は150%(行間スペースが文字の半分)になるのが目安です。ここら辺は個人の感覚の問題ですが、行間が詰まりすぎたり空き過ぎている文章は、文字の密集度の関係でとても読みづらいものとなります。
 またこの行間は、振り仮名、つまりルビを振る場合にも重要となります。論説文の専門用語や、小説の特殊な読み方でルビを振る場合、行間の確保が不十分だとルビそのものを入れるスペースが無く、ルビを使う行だけ行間が大きくなったりと大変見栄えが悪くなります。

 これら基本を踏まえたうえで、横書き、縦書きそれぞれの注意点などを解説していきます。

2-3-1.横書き
 横書きの場合、PC上で編集するテキストファイルと文章の向きが同じなので、感覚として文章の編集はし易いはずです。
 1ページあたりの行数、1行辺りの文字数が決まっている場合、エディタの折り返し幅を原稿と同じ幅にしておけば、エディタ上の文章をほぼそのまま原稿にすることができます。
 テキストから原稿にする段階で機械的に改行を入れて行って、行頭に句読点が来ないように気をつけましょう。

2-3-2.縦書き
 縦書きはの場合、PC上の表示とは違ってくるので若干ですが、編集に気を使う必要があります。
 横書き同様、エディタの折り返しを調整して置いた方がいいですが、それ以外にも気を使わなければいけない個所があります。
 縦書き文章は、一般的には小説やインタビュー文のようなものの時に使われます。その為、横書きに比べ、改行の回数が多くなります。これはページに単純に縦書きとして割り当てて行った場合、ページ下部に大きな余白が出来てしまい無駄が多くなることを意味します。また行末の高さもまちまちで、可読性も低くなります。
 これを克服するためには多段組みを使います。例えば、B5サイズ原稿で小説の場合、2段組みにするのが無難でしょう。原稿を段組みしないで使う場合の半分になるため、無駄が少なくなります。
 一行辺りの文字数は、小説の場合大体40~50字の間に納めるのがいいでしょう。ここら辺の文字数はフォントサイズとも相談しましょう。モデルにしている小説や本があるなら、それを真似した文字数にするのもいいかもしれません。

参考:電撃文庫の一行辺りの文字数は42文字。


注釈
  1. レイヤー機能: 画像上にレイヤー(=層)を複数持って画像を管理できる機能のこと。非常に便利。
    詳しくはぐぐるか、「ロマンシングコラ講座」を参考に。
  2. 基本的にページ数は4の倍数: 同人誌以外の一般書籍もそんな気はするけど、確証はない。
  3. 表紙込み20ページ(本文16ページ)が最低単位:
    もっと少なくても受け付けてくれる印刷所もあると思うけど、普段使ってる印刷所がそうなので。
  4. ノンブル: ページ番号のこと。ノンブルジョアジー、共産主義革命的な単語では無い。
  5. グレースケール: モノクロのこと。カラー情報を持たず白黒の濃淡で表現する。
  6. ラスタイズ: ベクトル情報であるフォントを画像として確定させること。必殺技の名前では無い。
  7. アンチエイリアス:文字ジャギ、つまりエッジがギザギザするのを滑らかにする機能。これも必殺技っぽい名前。





inserted by FC2 system